ベナール型対流

ベナール型対流とは

ベナール型対流(ベナールセル)とは、下面が暖かく上面が冷たい流体の層に発生する対流パターンのことです。フランスの物理学者ベナールが実験室で発見したことからこの名前がついています。

実験室では、底面を加熱した薄い液体の層の中に、規則的な六角形のセル状のパターンが現れます。各セルの中心部では液体が上昇し、セルの周辺部では液体が下降します。大気中でも同様の対流パターンが発生することがあり、衛星画像で雲のパターンとして観測できます。

大気中のベナール型対流が発生する典型的な状況は、冷たい空気が暖かい海面上に流れ出したときです。海面から加熱された下層の空気が対流を起こし、規則的なパターンの雲が形成されます。

開細胞型と閉細胞型

大気中のベナール型対流による雲のパターンには、開細胞型(オープンセル型)と閉細胞型(クローズドセル型)の2種類があります。

閉細胞型は、各セルの中心部で空気が上昇し雲ができ、セルの周辺部では空気が下降して雲がない状態です。衛星画像で見ると、雲で埋まった六角形状のセルが並んでいるように見えます。つまり「雲で閉じた」セルです。

開細胞型は、閉細胞型とは逆に、各セルの中心部では空気が下降して雲がなく、セルの周辺部で空気が上昇して雲ができます。衛星画像で見ると、雲のない六角形状のセルの周囲を雲が囲んでいるように見えます。つまり「雲のない開いた」セルです。

一般に、海面と大気の温度差が小さい場合(不安定の度合いが弱い場合)には閉細胞型が、温度差が大きい場合(不安定の度合いが強い場合)には開細胞型が発生しやすいとされています。

冬の日本海上に現れるロール状対流雲

冬季に、シベリア大陸からの冷たい北西季節風が日本海上に吹き出すと、暖かい日本海の海面から多量の熱と水蒸気の供給を受けます。この海面と大気の大きな温度差によって対流が活発化し、筋状の雲(ロール状対流雲)が形成されます。

この筋状の雲は、衛星画像でよく観測される冬の日本海の特徴的な雲のパターンです。雲の筋は風向にほぼ平行に並んでおり、筋の間隔は対流の規模に対応しています。

ロール状対流雲が形成されるのは、大気中の風のシア(風速や風向の鉛直方向の変化)と対流が組み合わさった結果です。対流のセルが風のシアによって引き延ばされ、筋状のパターンになるのです。

風のシアベクトルとロール雲の向き

ロール状対流雲の筋の方向は、単に地上の風向に平行というだけでなく、大気境界層内の風のシアベクトルの向きに支配されています。

風のシアベクトルとは、上層の風と下層の風のベクトルの差のことです。下層の風ベクトルの先端から上層の風ベクトルの先端に向かって引いたベクトルがシアベクトルです。ロール状対流雲の筋は、このシアベクトルの向きにほぼ平行に並びます。

冬の日本海上では、下層に北西の風(季節風)が吹いており、上層では偏西風の影響でより西寄りの風になっています。このため、シアベクトルの向きと地上の風向はほぼ同じ方向になり、雲の筋は北西から南東に向かって伸びるのが一般的です。

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