局地風

局地風とは

局地風とは、水平スケールが100km程度(メソスケール)の風系のことです。気象学的にはそれほど大きくはないスケールですが、その地域の天気や暮らしに大きな影響を与える重要な風です。

局地風の吹く範囲よりもずっと広い範囲で吹く風のことを一般風(一般場の風)といいます。一般風は総観スケール以上の気圧配置に支配される風です。

局地風には大きく分けて2種類の原因があります。熱的原因で吹く局地風と、力学的原因で吹く局地風です。

熱的原因で吹く局地風とは、地表面の暖まり方や冷え方が場所によって違う(陸と海、山と谷など)ことによって生じるもので、海陸風山谷風がこれにあたります。

力学的原因で吹く局地風とは、風が山を越えたり迂回したりすることによって流れが変わるために生じるもので、第3章で学んだフェーンボラ山岳波などがこれにあたります。

海陸風

海陸風とは、海岸に接する地域で日中と夜間に風向が逆になる風のことです。陸と海の性質の違い、くわしくいうと暖まり方の違いによって発生します。陸というのは暖まりやすく冷えやすい性質があり、逆に海というのは暖まりにくく冷えにくいという性質があります。この陸と海の性質の違いこそが、海陸風という局地風を発生させる原因なのです。

海風

日中は太陽の光によって陸と海の両方が暖められますが、陸のほうが暖まりやすいので、海に比べて陸のほうが暖かくなります。暖かい空気というのは軽いですから、陸で暖められた空気は熱気球のように上昇していきます。そして、その上昇した部分の空気を補うように海から風が吹いてきます。この風のことを海風(うみかぜ)といいます。

対して海上では、海から陸に向けて風が吹くことになるので、その部分の空気を補うように下降流が発生し、上空ではその下降した部分の空気を補うように陸から海、つまり海風とは逆の方向に向かう風が吹きます。これを反流と呼びます。

陸風

次に夜間は太陽が沈むので、陸と海の両方から熱が放出されて冷えますが、陸のほうが冷えやすいので海に比べて陸のほうが冷たくなります。つまり、今度は海のほうが相対的に暖かくなり、その海の上の空気が上昇するためその部分の空気を補うように陸から風が吹きます。この風のことを陸風(りくかぜ)といいます。

対して陸上では、陸から海に向けて風が吹くことになるので、その部分の空気を補うように下降流が発生し、その上空ではその下降した部分の空気を補うように海から陸、つまり陸風とは逆の方向に向かう風が吹きます。

一般的に日中と夜間の、陸と海の温度差を比べると、日中のほうがはるかに大きくなります。そのような理由から、日中に吹く海風のほうが反流となる高さなどの規模が大きく、また強い風となります。

朝凪と夕凪

つまり朝と夕方の時期というのは、海風と陸風が入れ替わる時期でもあり、陸と海の温度が入れ替わる時期でもあります。つまり、そのようないくつもの要素が入れかわる時期、つまり朝と夕方には、風がいったんやむのです。これを(なぎ)といいます。くわしくいうと、朝の凪を朝凪といい、夕方の凪を夕凪といいます。

海陸風の発生しやすい状況

海陸風はいつでも発生するわけではなく、発生しやすい状況が2つあります。まず1つ目は、日中にしても夜間にしてもよく晴れているということです。晴れていないと陸と海の温度差がつかないため、海陸風は発生しません。2つ目は、一般場の風が弱いということです。一般場の風というのは局地風よりもずっと広い範囲で吹く風のことですが、しかしその風が強いと、海陸風はずっと小さいので、一般場の風に吸収されてしまいます。

海陸風は一般的に日射の強い低緯度地方で発達しやすく、私たちの暮らす日本のような中緯度地方では、日射のより強くなる夏季に目立って発達します。また、高緯度地方では日射が弱いため、この海陸風は目立たなくなります。

海風前線

海風とは日中に海から陸に向かって吹く風のことをいいましたが、海岸から数十kmくらい離れた陸地にまで入り込むこともあります。海から陸に流れてきた海風と、もともとその場所にある空気の性質が違う(海からの空気のほうが冷たいことが多い)ので、そこで小さいながらも前線が発生します。これを海風前線といいます。この海風前線により対流雲が発生することもあります。

前線面を滑昇する上昇流を求める式についても触れておきましょう。上昇流は風速×傾き(勾配ともいう)で求めることができます。記号ではW=V×Δh/ΔXと書くことができます(W:上昇流、V:風速、Δh/ΔX:傾きを意味しΔh:高さ、ΔX:水平距離)。

例えば風速10m/sの暖気が図の左から吹いており、前線面の高さが1kmで水平距離が200kmである場合、ここで前線面を滑昇する暖気の上昇流(W)は10m/s(風速:V)×1km(高さ:Δh)/200km(水平距離:ΔX)となり、10×0.005=0.05m/sとなります。

山谷風

山谷風とは、山間部で日中と夜間で風向が逆になる風のことです。

谷風

まず日中は、太陽の光により山の斜面がより暖められるため、その山の斜面に接した空気も暖められ周囲の空気よりも密度が小さくなり、軽くなります。そして、その軽くなった空気は山の斜面に沿うように谷(山のふもと)の方向から山頂に向けて上昇していきます。この風のことを谷の方向から風が吹いてくるので谷風(たにかぜ)といいます。

このように山の斜面などに沿って上昇する風のことをアナバティック風(斜面上昇流)ともいい、この谷風はアナバティック風の一種です。

山風

次に夜間には、山の斜面から熱がよく放出されて冷やされるため、その山の斜面に接した空気も冷やされ、周囲の空気よりも密度が大きくなり、重くなります。そして、その重くなった空気は日中のときとは逆に山の斜面に沿うように山頂の方向から谷、山のふもとに向けて下降していきます。この風のことを山頂の方向から風が吹いてくるので山風(やまかぜ)といいます。

このように山の斜面などに沿って下降する風のことをカタバティック風(斜面下降流)といい、この山風はカタバティック風の一種です。

また、周囲の空気より密度が大きく重くなり、下の方向に流れるということを重力流というのでこの山風やカタバティック風というのは重力流の一種でもあります。

ボラ

フェーンというのは、風が山を越えて吹き降りるときに、その風下側となる地域で、高温で乾燥した風が吹く現象のことをいいました。対してボラとは、同じように風が山を越えて吹き降りるときに、その風下側の地域で、低温で乾燥した風が吹く現象のことをいいます。

では、このボラがどのようにして発生するのかをお話しします。例えば、凹んだ台地に何らかの理由で寒気がたまるものとします。そして、その寒気が凹んだ台地からあふれると、あふれた寒気は重いため、山の斜面に沿って下降していきます。つまり、空気が下降するので、ここで断熱昇温が起こります。

このように空気が下降する際には必ず断熱昇温をするのですが、寒気がもともと非常に低温であったとすれば、下降する際にいくら断熱昇温をしたとしても、山のふもとに吹きつけるときにはまだ周囲の空気に比べて低温であることがあるのです。また、その空気は乾燥していることが多く、このような風をボラといいます。

ボラは、もともと旧ユーゴスラビアのアドリア海沿岸地方で吹く寒冷な局地風の呼び名でした。現在では各地で吹く同じような風のことをボラとよぶようになっています。また、日本ではこのボラのことを「おろし」といい、地方によって特有な名前がつけられてもいます。

山岳波

山を越える気流が、山の風下側、または山頂付近で上下方向に振動するように流れることを山岳波、または風下波といいます。この山岳波の発生のしかたは、山にあたる気流の鉛直方向の速度分布や大気の安定性により異なるのですが、どのようにしてこの山岳波が発生するのかという一例を今からお話しします。

風が山にあたると、その風が山を越えるときに断熱冷却しながら上昇していくのですが、ある程度上昇すると周囲の空気よりも気温が低くなります。気温が低くなると重くなるので、この空気は下降をします。そしてある程度下降すると、今度は断熱昇温のために周囲の空気よりも気温が高くなり、軽くなるので再び上昇をします。これを何度も繰り返していくと、山の風下側で上下方向に振動する流れができます。これが山岳波です。また、その山岳波の波が上昇する部分で、もし飽和に達するまで空気が冷やされると、そこで雲が生じます。

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